私の好きな九州の山 |
南アルプス、南部50km大縦走 悪沢岳(3141m)〜赤石岳(3120m)〜聖岳(3013m) 〜光岳(2591m) |
●山行日 平成25年8月2日〜6日 ●天候 前半晴れ、後半小雨 |
★★★7年前、生まれて初めてアルプスと名のつく山に登ったのが南アルプスの北岳、間ノ岳、農鳥岳でした。 今回は南アルプス南部の悪沢岳、赤石岳、聖岳、光岳を一気に縦走してきました。本当は塩見岳からスタートしたかったのですが、適切なルートが見つからないため塩見岳は分離して計画することにしました。★★★ |
画像クリックで拡大 |
第一日目:畑薙ダム夏季臨時駐車場〜椹島ロッジ〜千枚小屋 |
第二日目:千枚小屋〜悪沢岳〜赤石岳〜百間洞山の家 |
第三日目:百間洞山の家〜兎岳〜聖岳〜聖平小屋 |
第四日目:聖平小屋〜上河内岳〜茶臼岳〜光岳小屋 |
第五日目:光岳小屋〜茶臼岳〜横窪沢小屋〜畑薙大吊橋〜畑薙臨時駐車場 |
8月1日 畑薙夏季臨時駐車場までのアプローチ |
|
▲▲▲ 南アルプス南部の登山基地、椹島(さわらじま)は近辺地域の登山者にとってもアクセスが大変なのですが、九州からとなると更に大変です。 7月31日、10時、久留米ICからスタート、200kmほど走って山口県のPAで仮眠。 目覚めて8月1日、さわやかな朝の空気の中、出発します。適当に休憩を入れながら淡々と走ります。九州から車を利用してアルプスへ行くことも数回経験してある程度慣れて来ています。 退屈しのぎに今回は私の大好きなDJのラジオ番組を事前に録音してそれを10時間ほどのファイルに結合して、ナビのSDカードに記録してFMトランスミッターで飛ばしてカーラジオで聞くことにしました。これは大変良い効果を発揮して長い道中を楽しく運転することが出来ました。 新東名の島田金谷ICを17時頃出ます。 これより大井川に沿って延々と北上して畑薙夏季臨時駐車場を目指します。奥地に入るにつれ段々と道は悪くなりますが、それでも予想していたよりはずっとましです。カーブは多いものの舗装は途切れることなく19時10分、無事に畑薙夏季臨時駐車場に到着しました。途中、出会う車はあまり無かったのですが、ここにきてびっくり100台以上の車が集結しています。 |
15kgのマイザック | 大井川 | 畑薙夏季臨時駐車場 |
8月2日(第一日目) 畑薙ダム夏季臨時駐車場07:10〜08:10椹島ロッジ 椹島ロッジ08:25〜10:00林道〜11:30清水平〜14:15駒鳥池〜15:00千枚小屋 ▲▲▲区間距離約8km、 累積標高+1700m -200m、 時間6時間30分 |
|
▲▲▲ 畑薙夏季臨時駐車場から椹島ロッジへのアクセスは東海フォレストが運行するマイクロバスに頼るしかありません。その手前の聖岳登山口までは井川観光協会のマイクロバスも利用できます。 それぞれが経営する山小屋の送迎が主目的ですから登山者目線からすれば 少々、不便な点もあります。 東海フォレストの第一便(畑薙夏季臨時駐車場発)は8時なのですが、事前情報によれば、登山者の多い時には臨時便が出るそうです。 標準コースタイムでなかなか歩けない自分としては、出来るだけ早く出発したい気持ちで、早めにバス乗り場に並びます。幸いなことに7時過ぎに臨時便が出ました。小型バスなので定員に限りがあり乗車できない登山者もかなりありました。 乗車前に料金3000円を支払います。これは東海フォレストが経営する山小屋の宿泊代金の前払い金となり宿泊時に精算されます。そのためテント泊の場合も一泊だけは小屋泊まりする登山者が多いようです。 でこぼこ道を一時間ほど揺られて、ようやく椹島ロッジに到着します。ここが南アルプス南部の登山基地です。北アルプスで言えば上高地に相当しますが、ここは観光客は皆無、登山者のみの世界です。 奥深い土地にもかかわらず、椹島ロッジには立派な宿泊施設や入湯施設があります。8時半、いよいよ南アルプス縦走の山旅のスタートです。 |
バスを待つ登山者 | 車窓から仰ぐ奥聖岳 |
椹島ロッジ | いざ出発! |
▲▲▲ 椹島ロッジ08:25〜10:00林道〜11:30清水平〜14:15駒鳥池 〜15:00千枚小屋 椹島ロッジの標高が1100mほどで千枚小屋までは約1500mの標高差の登りになります。奥西河内にかかる吊橋を渡ればいきなりの急登が始まり尾根に乗るまで大汗をかきます。 山小屋泊まりにしては少々重すぎる15kのザックが肩に食い込みスタートから難儀します。またバランスを崩したときに立て直しが利き難くそのまま持って行かれそうな感触があり注意が必要だと感じました。 千枚尾根をひたすら登るこのコースは途中の展望もほとんどなくただ黙々と登り上がります。コース、中ほどの清水平はその名の通りの綺麗な水場で一息入れるにはぴったりの場所です。 |
吊橋を渡る | 岩頭見晴しから |
清水平で憩う登山者 | 木馬道を登る |
駒鳥池。白骨木と苔の緑が美しい。 |
千枚小屋の周辺に咲き誇るマルバダケブキ |
小屋まで15分 | 小屋の屋根が見えた | 新築の千枚小屋 |
小屋で憩う | 私の寝場所 | 夕食 |
8月3日(第二日目) ▲▲▲千枚小屋(4:55)〜(7:40)悪沢岳(荒川東岳)(3141m)〜(8:50)中岳〜(9:50)荒川小屋〜(12:20)小赤石岳〜(13:00)赤石岳(3120m)〜(15:20)百間洞山の家 ▲▲▲区間距離約12km、 累積標高+1600m -1800m、 時間10時間20分 |
|
▲▲▲ 四泊五日 の山行中でこの日が最も天候に恵まれました。千枚小屋から眺めるご来光、雲海に浮かぶ黎明の富士、悪沢岳山頂から見た雲海上の北アルプス、南アルプス北部の山々などしっかり脳裏に焼きついています。 最初の計画では6泊7日で、荒川小屋に泊まるつもりだったのですが、実際には10時前に荒川小屋に到着して、これでは時間がもったいないので多少の不安はあったのですが、百間洞山の家まで行くことに変更しました。 赤石岳の下調べが足らず、次々と現れる偽ピークに大変疲れを感じました。また赤石岳から百間洞山の家へのルートも簡単に考えていたのですが、結構距離も長く足元の悪いガレ場歩きも多くて思った以上に大変でした。 |
ご来光まじか、右手に富士山がちらり |
綺麗な朝焼けに出会えたのはこの日だけでした |
朝の千枚小屋 |
黎明の富士山 |
押し寄せる雲海 |
雲海に浮かぶ富士山 |
朝日を浴びてくっきりと陰影を刻む赤石岳 |
千枚岳頂上の登山者 |
雲海と登山者 |
これから向う丸山と悪沢岳 |
ダイナミックな雲海 |
さわやか登山 |
雷鳥と登山者 |
丸山を登る |
千枚岳を目指す登山者 |
雲海のかなたに北アルプス |
悪沢岳へ |
丸山へ登り上がるシルエットの登山者 |
岩場の多い悪沢岳 |
岩峰と富士 |
ガスが上がってきて赤石岳を覆ってしまいそうだ |
悪沢岳、頂上近し |
悪沢岳頂上3141mにて |
悪沢岳を後にする |
荒川三山の中岳 |
中岳へはいったん鞍部に下って上り返す |
荒川中岳避難小屋、左の方が小屋番さん。 |
荒川中岳 |
中岳からゆるく下り前岳は飛ばして荒川小屋方面へ分岐する |
画面中央に小さく小屋が見える |
鹿除け柵のあるお花畑 |
これだけ広範囲に密集したお花畑には滅多にお目にかかれない。 ミヤマキンポウゲ、ハクサンイチゲ、ミヤマクロユリなど。 |
荒川小屋へ下る |
荒川小屋。名物のカレーライスを頼みたかったが、重量を減らすため持参のパンなどを食べる。 |
赤石岳へ |
大聖寺平 |
山はガスに包まれはじめた |
赤石岳へ |
赤石岳へ |
赤石岳は遠かった。いくつかの偽ピークを越えてようやくたどり着いたと思ったら、ここは小赤石岳だった。かなりお疲れモード。 |
ここが本当の赤石岳山頂。ガスって周りの景色はなし。直下に立派な赤石岳避難小屋が見える。 |
今夜の寝床の百間洞山の家へ |
赤石岳から先は登山者の姿もめっきり少なくなりました。 |
大きなガレ場をトラバースする |
部分的にハイマツが枯れていて白い幹が模様のように見える |
百間平。雲の平みたいな所とも聞くがこの天気ではね〜。 |
稜線を外れ百間洞山の家に向けてガレ場を下る。 |
カラフルなテントが見えてきた |
谷あいに立つ百間洞山の家。名物の揚げたてとんかつは4時到着で締め切り、私はなんとか間に合いました。なが〜い一日でした。 |
今夜の寝場所。 |
▲▲▲ 南アルプスの花たち |
ミネウスユキソウ | タカネグンナイフウロ |
イワギキョウ | |
イブキジャコウソウ | タカネビランジ |
タカネナデシコ | ヨツバシオガマ |
ゴゼンタチバナ | イワオウギ |
マツムシソウ | |
イワツメグサ | ミヤマダイコンソウ |
ハクサンイチゲ | タカネヤハズハハコ |
ハクサンイチゲ | チングルマ |
タカネツメグサ | |
イブキトラノオ | コイワカガミ |
ミヤマダイコンソウ |
タカネビランジと聖岳 |
8月4日(第三日目) ▲▲▲百間洞山の家(5:00)〜(6:35)中盛丸山〜(7:30)兎岳〜(10:50)聖岳〜(13:00)聖平小屋 ▲▲▲区間距離約8km、 累積標高+1250m -1350m、 時間8時間 |
|
▲▲▲昨晩は隣の登山者の鼾がうるさくて良く眠れなかった。かく言う自分も鼾をかくこともあるかも知れないので何ともいえないが、とにかく眠れなかった。 朝日を浴びながら小屋裏の登山道を登る。峠に登り上がると目前に中盛丸山の端正な山容が飛び込んできた。よっしゃ今日も登るぞ〜 兎岳までは綺麗な青空だったのだが、聖岳の山頂ではガスに覆われてしまった。 残念!苦労して登ったのに景色が見えないとは。 天気がよければ奥聖岳にも行く予定であったが、この天気では行っても楽しみがない。さっさと下山することにする。 |
百間洞山の家を出発 | 小さくなった百間洞山の家 |
朝日に映える聖岳、今行くよ。 | |
緑の美しい中盛丸山 | |
歩いてきた山々 |
今日も富士山が見えました | 根曲がりダケカンバ |
中盛丸山と大沢岳の鞍部にて | 中盛丸山ピーク |
振り返り見る大沢岳 | |
鞍部から中盛丸山 | ナナカマド |
兎岳 | 中盛丸山と兎岳の中間のピーク |
兎岳から聖岳に連なる吊尾根 | |
兎岳 | |
兎岳を登る | 兎岳を登る |
兎岳ピーク | 兎岳ピーク |
兎岳から鞍部に下る | |
大きな山体の赤石岳 | 最低鞍部 |
聖岳へ | ガスが吹き上げてくる |
山頂の人影が見える | 山頂目前 |
聖岳山頂3013m。最も南の3000m峰。 | 景色も望めないので奥聖岳はパス |
聖岳南面のガレ場にて | 聖岳南面のガレ場にて |
聖岳南面のガレ場にて | 一瞬、ガスが晴れました |
明日登る予定の上河内岳でしょうか? | らくだの背のような尾根 |
聖平にて | 聖平にて |
マルバダケブキ | |
聖平の木道 | 聖平小屋到着 |
広いテンバにヘリが下りてきました | 学生達で賑わうテンバ |
聖平小屋 | 今夜のねぐら |
8月5日(第四日目) 聖平小屋(5:10)〜(7:10)上河内岳〜(8:20)茶臼岳〜(10:20)易老岳〜(12:40)光岳小屋 ▲▲▲区間距離約13km、 累積標高+1300m -1000m、 時間7時間30分 |
|
▲▲▲ この日の天気は下り坂。上河内岳への登り口あたりから霧雨となりザックカバーと雨具の上のみ着用する。天気が悪く写真も撮れないので、急ぎ足で前に進む。当初の予定では茶臼小屋に泊まることも考えていたが、時間が余りすぎるので光岳小屋まで行くことにする。途中、新潟からの登山者と抜きつ抜かれつしながら先を急ぐ。結果、昭文社地図の標準タイムより2時間早く到着しました。 一時的に雲間から青空が見えた場所もあったが、ほとんど霧雨、小雨状態であった。光岳小屋の管理人は少々うるさいと聞いていたが、案の定、予約をしていないことを告げると「予約がなければ泊められません」とぴしゃり言われる。しかしその言葉の裏で「お茶をどうぞ」と湯飲みを差し出してくれる。なかなか役者のばあちゃまだ。 新潟の登山者と隣の寝床の千葉の登山者と3人で食堂で酒を飲みながら山談義に花を咲かせる。新潟の登山者は100名山達成間近のようだ。 平日なのだがツアーの団体が20名入っているとのことで定員40〜50名ほどの小屋は満杯。肩幅ほどのクッションシート一枚に一人寝てくださいとのこと。これでは絶対に寝られないと思っていたら後で一人分だけスペースを開けてくれたので何とか寝ることが出来ました。 |
雲間から僅かな朝日 | 聖平を後にする |
幻想的な風景 | 南岳へ |
南岳山頂 | 上河内岳へ。30kのザックを背負って甲斐駒ヶ岳から縦走10日目の方。凄い人がいるもんだ。 |
上河内岳肩。山頂は知らず通過したのか写真がありません。(後で調べると山頂は縦走路から外れた位置でした) | 自然庭園 |
広い平地 | 優しい登山道 |
ガレ場のトラバース | だだっ広い場所 |
茶臼小屋分岐、明日はここから下る。 | 茶臼小屋、畑薙案内 |
茶臼岳から下ってくる登山者 | 茶臼岳ピーク |
茶臼岳山頂 | 茶臼岳を下る |
仁田池 | 木道 |
希望峰 |
コバイケイソウ群落 | コバイケイソウ群落 |
林床のシダが美しい | |
苔をまとった根っこ | 易老岳 |
易老渡分岐 | 少し明るくなってきました |
空の一角に青空が! | |
こちらはガスの中 | |
光岳へはこの谷を上がります | 谷を上がった地点 |
水場は枯れていました。ここの水があるときには小屋では水を与えませんとの立て札がありました。 |
イザルヶ岳分岐、何か変わった名前です。 | 木道 |
イザルヶ岳 | かすかに山小屋が見えます。 |
光岳小屋 | 光岳山頂、展望はありません。 |
光岩(白く光るこの岩が山名の謂れ) | 光岩 |
光岳小屋 | 夕食 |
青いシート一枚分(約60cm)が今日の寝床。 |
8月6日(第五日目) 光岳小屋(5:50)〜(7:25)易老岳〜(9:50)茶臼岳〜(11:20)横窪沢小屋〜(12:20)ウソッコ沢小屋〜(13:00)ヤレヤレ峠〜(13:20)畑薙大吊橋〜(13:25)茶臼岳登山口 ▲▲▲区間距離約13km、 累積標高+1050m -2700m、 時間7時間40分 |
|
▲▲▲ 小雨の降り止まぬ中、光岳小屋を出発します。今日は雨着の上下にスパッツも着用、ザックの中の持ち物も小分けしてビニール袋に納め、雨対策はばっちりです。もし風雨が強くなれば茶臼小屋に泊まれば良い、とにかく茶臼岳まで行ってその後の行動を決めるつもりです。飛ばしに飛ばして茶臼岳にはちょうど4時間で着きました。 茶臼小屋で茶臼岳登山口のバス時刻をお尋ねすると13時50分とのこと。急げば間に合うかも知れない。 横窪沢小屋までは一気に下りました。標高が下がって沢音が聞こえるようになり、ゴールは近いと期待しましたが、それからが長かった。ゆるい上り下りが続き畑薙大吊橋はいっこうに見えてこない。ウソッコ沢小屋からヤレヤレ峠に到着して本当にヤレヤレでした。 畑薙大吊橋が見えた時は大感激。長い吊橋を恐々渡って発車30分前に茶臼岳登山口バス停に無事到着しました。(最初の予定では駐車場まで4kの道を歩くつもりでした) |
雨の中、出発する | |
雨の中、富士山が見えました | 木道 |
易老渡分岐 |
茶臼岳へ | 茶臼岳へ |
茶臼岳 | 茶臼岳 |
茶臼岳を下る | |
茶臼小屋分岐 |
茶臼小屋 | |
横窪沢小屋。 | 横窪峠 |
これから階段、吊橋が連続する | 吊橋 |
吊橋 | ウソッコ小屋(無人) |
吊橋 | フシグロセンノウ |
ヤレヤレ峠(文字通り) | 着いたよ〜〜〜畑薙大吊橋 |
畑薙大吊橋 | |
長い吊橋だ | 茶臼岳登山口 |
13:50のバスに無事乗車 | しらかば荘に宿泊。基本は車中泊ですが今日ばかりはゆっくり休みたいと思いました。新築で料金も安くて良い宿でした。 |
翌日は快晴。しらかば荘から茶臼岳を仰ぐ。昨日、雨の中、左から右にこの山稜を駆け抜けました。感慨ひとしおです。 |