■■ 九月、短い夏が終り、もう秋の気配。夏のギラギラした輝きが失せ、大気は澄み、天は高く、安定した季節の到来である。物事が成就する時、収穫の時である。カルデラの千枚田は、高みから見るとまるでパッチワーク作品のようだ。
■■ 十月、草原は次第に秋色に変わり、ススキの穂が金波、銀波の海のように輝く。しかしその輝きは、夏の草原の強烈な輝きとは違い、やがて訪れる冬の気配を察した滅びの輝きのようにも見えて物悲しい。
■■ 十一月、紅葉の季節だが、阿蘇カルデラ一帯では、根子岳と菊池渓谷の紅葉が良い。この時期、放牧の牛馬は里に下ろされる。草原は採草され、冬場の飼料となる草小積みが、草原に点在してくれば冬の訪れも近い。
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